ライタースキルアップ術

【OK8割】「通る」取材依頼書の書き方を現役ライターが解説【見本付】

ライター庄部の取材依頼書

「取材依頼がなかなか通らない」「アポ取りがうまくいかない」「取材依頼書に書くことが絞れない」

取材をするためにはまず、相手から「取材を受けてもいいよ」と許可をもらう必要がありますが(例外はあります)、ライターの中にはこんな悩みを持つ人もいるのではないでしょうか。

ぼくのクライアント企業の編集者も「アポ入れに苦戦している人が多くて…」とぼくのノウハウを共有してもいいかと相談してくれたことがありました。

そこで今回は、取材OK率8割のぼくが、取材依頼書を作る上で重視していること、意識していることを見本データを示しながら説明していきます

ぼくが大切だと思うのは

相手の時間を奪わない、すぐに判断できるものを作ること

です。

参考にしてみてください。

取材承認率8割の実績

まずは、ぼくの依頼実績を紹介しますね。

2019年3月から2020年3月までのデータは下の通りです。新型コロナウイルス感染症の影響を省くためにこの期間にしました。

  • 取材依頼数 40人
  • 掲載媒体 3媒体(週刊誌、Webメディア2つ)
  • 取材OK 34人
  • 取材NG 6人
  • 取材OK率 85%

40人にお願いして34人にOKをもらいましたから、承認率はちょうど85%です。

取材OKをもらえる理由

ここで注意してほしいのが、「取材依頼書の内容が良かったから」という一つの理由で取材OKをもらえるケースはそう多くないだろうということです。

なぜかというと、複合的な理由で判断されることが少なくないと思われるためです。

相手が取材を受けるかどうかを決める要素には下のことが挙げられます。

  1. 取材に対する考え方
  2. そのときの仕事の忙しさ
  3. 気分
  4. その媒体への印象
  5. その企画への印象
  6. そのライターへの印象

これらに加えて、そもそも相手に依頼の旨が伝わっているかどうかや、第三者が仲介した場合に取材意図が正確に伝わっているかどうかが関係することもあります。

③から⑥にかけては依頼書の内容が関わりますが、①と②へは影響を与えません。

つまり、「取材依頼書の内容」と「取材OKをもらえた結果」に相関関係があることは考えられるけれど、因果関係があるとまでは言えない、ということですね。

「相関関係」と「因果関係」は他のテーマでも応用できる概念です。

「これらの間に成り立つのは相関関係か」「因果関係まで至るのか」という視点でものごとを考えると面白いです。

相関関係…一方が変化すれば他方も変化する関係

因果関係…2つ以上のものの間に原因と結果の関係があること

ですので、

取材依頼書の内容が相手にポジティブに影響していることは考えられる

こんなトーンでぼくの記事を読んでもらえたら、と思います。

ライター庄部の取材依頼書

それでは、ぼくが過去に作った取材依頼書の写真とPDFを添付します。

ライター庄部の取材依頼書

【見本】取材依頼書

二次利用された際に生じ得る悪影響を減らすため、データでは媒体名と取材依頼先を伏せていますが、この企画はエムスリー株式会社が運営する医師向け会員制サイト「m3.com」のために立てたものです。

依頼先は、千葉県船橋市にあるクリニック「習志野台整形外科内科」の宮川一郎院長です。

取材記事はこちら。

【千葉】iPadを診療に活用し10年「患者の不満解消と医療リテラシー向上を図りたい」‐宮川一郎・習志野台整形外科内科院長に聞く◆Vol.1

取材依頼書のポイント

それでは、取材依頼書を作る上でぼくがポイントだと思っていることを書きます。

A4サイズ1枚で簡潔に

まずはこれです。

依頼先が忙しい人だと仮定して、そんな人でもすぐに判断できるようにしてあげた方が親切ですから、ぼくはA4サイズ1枚に情報を集約するようにしています。

複数枚に及ぶものだと、データや紙の文章を目にした瞬間に、「面倒だな」と拒否反応を示される可能性があるのではないでしょうか。

ぼく自身、長々と書かれている文章を読むのは嫌なんですよね。

ぼくがこれから書いていくことは概ね、「自分がされたら嫌だと思うことの逆」を意識しています。

ぼくは2016年からブログを運営していて、今までに約80人から仕事の相談やイベントの案内などの連絡をもらいました

当初は一つひとつに返信していましたが、2年前ごろからそれを止め、現在は2つに1つ返すか返さないか程度です。

問い合わせや相談をもらう人の気持ちが少しはわかるのではないかなと。

相手がすぐに判断できるものを

簡潔さと同時に、網羅性を備える必要もあります。

依頼書に書かれている内容だけで相手が判断できない場合、当然、相手は何らかのことをこちらに聞かなくてはなりません

まず、その時点で面倒に感じてしまう人がいるのではないでしょうか。

また、疑問の数が多いほど結論を出すためのキャッチボールの回数が増えるわけですから、一層、相手をげんなりさせてしまう可能性が高くなります。

ぼくが問い合わせのメールに返信しないケースの理由として最も多いのがこれです。

取材依頼書にありがちな書き漏れ

  1. 取材に要する時間
  2. 取材場所
  3. 写真撮影の有無
  4. 訪問人数
  5. 金銭授受の有無

取材依頼書を書く上で漏れてしまう恐れがある項目をざっと書き出してみました。

それぞれ、簡単に触れていきますね。

① 取材に要する時間

その取材にかかる時間がどれくらいかわからないと、忙しい人ほど結論を出せません。

② 取材場所

こちらに来てくれるのか、それともこちらがどこかに行かなくてはならないのか。

取材の多くは先方の拠点に設定されることが多いわけですが、これもしっかりと書いておかないと相手に質問の余地を与えてしまいます。

③ 写真撮影の有無

これも重要ですね。

「質問に答えるのはいいけど、写真を撮られるのはちょっと…」という人がいるかもしれませんし、もし当日になって「え、写真を撮られるのは嫌だな」と言われてしまうと取材側が困ってしまいますから、そのリスクを減らす意味でも載せておく必要があるでしょう。

④ 訪問人数

見本データには載せていませんが、人数が多くなるほど掲載の必要性が高くなるでしょう。

実際、病院側が用意している取材依頼書に記載を求められることがありますが、その中に「訪問人数」の項目が設けられていることがあるんですね。

人数によって取材側を施設のどこに案内すればいいかが変わる可能性もあるのではないでしょうか。取材の受け手も含めて5人以上いる場合に狭い部屋だと不都合だとか。

⑤ 金銭授受の有無

そして、意外と重要なのがこれです。

「取材と言いつつ、広告の営業だったことがあるんですよね」

ぼくの取材相手の多くが医師であることも関係しているのだと思いますが、こんなことを言われることがときどきあります。

ぼくは見本のように金銭授受はないことを明記しているわけですが、それでも会った際に「念のために確認しておきたいんだけど…」と話されることもあります。

医師らによると、記事の掲載に費用が発生することがあり、その旨をアポイントの時点で聞かされていなかったこともあるようなのです。

過去に何があったのか詳しくはわかりませんが、人によっては取材を警戒していることもあるので、一言書いておくことを勧めます(媒体や取材の性質にもよりますが)。

それと、「書き漏れやすいこと」には当てはまらないので書きませんでしたが、相手がイメージしやすくするためにも、見本の記事を添付しておくことは必須でしょう。

ライター庄部の細部への意識

取材依頼書に書く内容で必須のこと、意外と重要だと思うことを書いてきましたが、次はぼくが個人的に意識している細部について紹介します。

  1. 送信日
  2. 属性メリット
  3. タイトル風の取材テーマ
  4. 取材日の期限

① 送信日

基本的なことかもしれませんが、書いておいた方がいいとぼくは考えています。

医療は今でもファクス文化が残っている業界で、取材依頼書をファクスで送らないといけないことが往々にしてあるためです。

また、医療機関のアドレスにメールでデータを送る場合であっても、メールを日常的に閲覧するのが事務スタッフであり、その人がデータを紙に出力して医師に渡すことが考えられるため、「いつ送られたものか」わかるようにしておくことが望ましいのではないでしょうか。

② 属性メリット

医療を専門に取材していることを伝えることで、興味や安心感を抱いてもらえるのではないか

そう考えるのは読者も想像に難くないと思うのですが、個人的にはそれ以上に「複数の出版社やWebメディアと仕事している」と記載していることがポイントです。

「この人とつながっておけば何か面白いことがあるかもしれない」

自分の活動をPRしたい人はこんなふうに思ってくれる可能性があるのではないかと。

実際に、取材で会った人が面白くてその人が他媒体のカラーとも親和性がある場合は、「今度はこちらの媒体の取材に協力してくれませんか」とお願いすることがあります。こうした提案に対して「ぜひぜひ」と喜んでくれる人もいるんですよね。

これはぼくのケースでしたが、「自分には果たしてどんなストロングポイントがあるだろうか」と考え、その内容をさりげなく依頼書に盛り込むことは検討に値するのではないでしょうか。

たとえば地方でさまざまなジャンルの取材をしているライターの場合、「私は●県で政治・経済・医療分野の取材をしているライターで…」などと書くことで、何も書かないよりは興味を持ってもらえる可能性は生まれるでしょう。

医師の中には診療外の活動に力を入れている人もいるので、そんな人であれば「このライターとつながっておけば有益な情報を得られるかもしれない」と思ってもらえるかもしれません。

③ タイトル風の取材テーマ

これはケースバイケースですが、もし依頼先が過去に何らかのメディアで取り上げられていたり、ホームページなどで自身の活動を紹介していたりして取材での結論が想像できる場合は、取材テーマをタイトル風に記載できないか検討してみるといいかもしれません。

その方が感じが柔らかくなり、先方もイメージしやすくなるだろうと思うからです。

まあ、実際は取材してみるとほかに面白いことがどんどん飛び出してきて予定の構成から大幅に変わる、なんてことが少なくないのですが。

④ 取材日の期限

これも意外と相手の印象を左右するのではないでしょうか。

ぼくは相手を「忙しい人」と仮定し、基本的には「3週間以内で2、3の候補日をもらう」ようにしています。

ぼくが逆の立場だったとして、「今から1週間以内に1、2時間もらえないか」といった提案だとしたら現実的に対応できないことがありますし、また、そもそもこういったタイトめの提案をされたら、その人の想像力やスケジュール管理能力に疑問を感じるかもしれないからです(状況にもよると思いますが)。

「自分がなんだか軽視されている」というようなネガティブな印象を与えないためにも、ある程度の余裕を持って提案し、また相手の返信後にすぐに取材日が確定できるよう、何度もスケジュール調整のやり取りをしなくて済むよう、候補日を複数もらうようにするといいのではないでしょうか。

取材依頼書を送った後の返事のもらい方

最後に、取材依頼書を送った後の返事のもらい方についても書いておきます。

ここをどうルール化しておくかが、ライターと取材依頼先の心理的・行動的ロスを減らすためにも重要だと思うんですよね。

ぼくが実践していることは下の通りです。

  1. ちゃんと届いているか確認
  2. 返答期限を設ける
  3. 取材NG時に返事は要らないと伝える
  4. フォローは2回まで

それぞれ、触れていきます。

① 届いているか確認

基本的なことのように思いますが、まず大事なことは、ファクスまたはメールを送りっぱなしにしないことです。

ぼくであれば、ファクスかメールを送ったら1分後くらいに電話をかけて届いているかを確認、ファクスであれば「~先生に渡してもらえますか」、メールであれば「~先生に読んでもらうよう伝えてもらえますか」とお願いします。

医療機関はさまざまな業者が関わりますから、連日、少なくない数のファクスやメールが届くと聞きます。

実際に、「依頼書が何かに紛れてしまって…」と話す医師も過去にいましたから、まずはしっかりと望む人に届く手順を踏む必要があるでしょう。

② 返答期限を設ける

返事がなかなかもらえない…

ライターが企画から携わる仕事の場合、これがストレスになるのはぼくだけではないでしょう。

発行スケジュールが決まっている紙媒体だとなおさらです。

依頼した人への取材がNGだとまた別の人を探して取材をお願いする必要があり、そうしているうちにどんどん締め切りが近づきますから、これはけっこうなプレッシャーなんですよね。

ぼくはファクスまたはメールを送ってちゃんと届いているかも確認した後、2日ほど経っても返事がない場合、返答期限を設けるようにしています(場合によっては依頼書が届いているかどうか確認した際に伝えることもあります)

「こちらの都合で恐れ入りますが、取材OKの場合は●日まで(2日後に設定することが多いです)にお返事をいただけますでしょうか」

そしてここから③につながります。

③ 取材NG時に返事は要らないと伝える

「もし何らかの理由で取材にご協力いただけない場合、そのためだけにお返事をいただくのは手間だと思いますので、お返事は不要です。

ですので、●日までにお返事をいただけなかった場合は今回はご縁がなかったものと判断して、別の先生にご相談します。ご了承ください」

と、こんな感じですね。

こう伝えておけば、相手が取材を受けるか否かを真剣に検討しやすくなるのではないかと思いますし、仮に取材を受けたくないと思った場合も、返事は要らないわけですから手間がかかりません

ライター自身も判断しやすくなり、次の行動に移りやすくなります

ポイントは、「返事がなかった場合は他の人に相談する」と伝えていることです。

仮に返答期限を設けたとしても、「●日までにお返事いただけますか」だけだとちょっと弱いと思うんですね。

当然のことですが、「取材を受けること」は相手本来の仕事ではありません。

人によっては取材を受けるかどうか、または受けるとしてどの日を候補日にするかを考えるのを後回しにして、「もし期限を過ぎてしまっても何か連絡があるだろう…」などとぼんやり考える人がいるかもしれません。

特に医師は周囲の人からさまざまなお膳立てをされやすい職業ですから、ほかの職業の人に依頼する場合に比べてその可能性が高まりやすいとぼくは考えています。

「期限までに返事をしなかったらこの話はなくなるんだな」と相手に理解してもらうことで、行動してもらいやすくなるのではないかなと。

ただ、このあたりはさじ加減が必要です。

あくまでもこちらは「相手の時間をもらおうとする立場」ですから、相手に真剣に考えてもらいやすくしつつ、かといって心的な圧迫感を与えないバランスで伝える必要があると思います。

④フォローは2回まで

②と③を習慣化していれば、何度も返事を催促する必要がなくなります。

仮に取材依頼書を送った後に返事がなく、返答期限を設けたい旨を先方に伝えるのを「フォロー1回」とすると、このときに「返事がないと取材NGと判断する」と伝えているわけですから、これ以上連絡をする必要がありません。

少し余裕を持たせて、ぼくは「フォローは2回まで」と決めています。

まとめ

ぼくが思う、取材依頼書のポイントと返事のもらい方を書きました。

取材依頼書をどんな内容にするかは

  • 相手の立場を考える
  • 「忙しい人」を前提にする
  • すぐに結論が出せる内容にする

返事のもらい方は

  • 互いの心理的・行動的ロスを減らす

ことがぼくは重要だと考えています。

今のところ、先方から結論をもらうまでに取材依頼書の内容について質問が寄せられたことはとても少なく、記憶に残っているのは「お金がかからないのか」「サイトのどの部分に記事が載るのか」といったことくらいです。

参考にしてみてください。

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