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元記者が明かす新聞社の変な実態【やっぱり普通の会社とは違います】

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100の会社があればそのあり様は100通りだと思います。

が、

中でも新聞社はちょっと変わってるなあと思うのがわたしの実感。

わたしは独立するまでに新聞社を含めて三つの会社に勤めました。他の2社にも固有の特徴はありましたが、中でも新聞社での日常はインパクトが大きかったのです。

不愛想な人が多く、後輩に対しては全員呼び捨て。昼間からソファで寝ている人がいて、深夜になれば常備されている酒を取り出し一杯やり出す人の姿があちこちに…。

新聞社の組織的な体制や取材・執筆の現場については情報がいろいろと出されていますが、こういった何気ない日常に触れているものは少ない印象。

今回は2年間の新聞記者生活を振り返り、フリーライター・ショウブ(@freemediwriter)が多くの会社とは違っているであろうと思ったこと、変わっていると思ったことを紹介します。

まとまりに欠いた主観的な記事ですが、「へーそんな意見もあるんだ」と面白がってもらえればうれしいです。

後輩に対しては全員呼び捨て

わたしが勤めていた新聞社では、ほとんどの記者が後輩を呼び捨てにしていました。年齢が上の人に対しても、自分の方が入社したタイミングが早ければ相手を呼び捨てにしていました。

嫌な慣習でしたね。

わたしはたとえ年下であってもさほど仲の良くない人を呼び捨てにするのは嫌いなので、「なんでみんな一律に後輩を呼び捨てにするんだろう」と疑問に思っていました。

新聞社は上下関係が明瞭な軍隊的な企業なので、その特徴を強固にするためのならわしなのかもしれません。

記者の文章を校正するデスクが「あそこに行け」と言えば、記者はその指示に粛々と従うのが当たり前の世界。

わたしが新聞社にいた当時、持ち場を持たずに自由に取材ができる記者は「遊軍」、警察担当は「サツ軍」と称され、デスクは記者を「兵隊」と呼ぶなど、軍隊用語が現代でも活用されていました

不愛想な人が多い


小説家の村上龍さんは小説やエッセーで新聞記者の特徴について「愛想がない」といった意味のことを書いていますが、これは非常に的を射ています。

複数の業界関係者も同意していましたが、不愛想な人が多いんですよね。

びっくりしましたもん。

わたしが会社に入って間もないころ、先輩に「お疲れさまです」と頭を下げたら無視されました。しかも何度も、複数の人に。

向こうもわたしのことを同じ会社の人間だとは知ってるはずですが、なぜ…?

同じ時期に入社した中途の同期もわたしと同じように驚いていて、「おかしくないですか? 会釈一つも返さないなんて」と疑問に思っていたよう。

かといって、いざ仕事で絡む必要があったときは普通に接してくれる。

今も謎ですが、無表情で不愛想な人が多い環境で育つと、そうじゃない人も段々とそう変化してしまうのかも。

冷蔵庫に酒が常備されている

社内に酒がある会社って珍しいのでは。

わたしが他に勤めたタウン紙の出版社や医療の会社にも冷蔵庫がありましたが、その中には社員のお土産が一時的に置いてある程度でさほど活用されていませんでした。

新聞社の冷蔵庫にはビール、チューハイ、焼酎、日本酒とさまざまな酒が入っていました

「飲まんとやってられんわ」

デスクが話していたことに集約されているのでしょう。

新聞社は毎日が締め切りで、記者はデスクに怒られ、ときに怒鳴られヒーヒー言いながら取材し、原稿を書き、直します。

デスクはデスクで本人からすれば下手な記者の文章を読んでイライラしながら疑問に思ったことを一つずつ記者に電話で尋ね、時間に追われながら修正していきます。

無事に原稿を整理部(記事に見出しをつけたり最終校正をしたりする部署)に送った後に大きな緊張感から解放され、酒を飲みたくなるデスクの心理は理解できます。

とはいえわたしは怖いデスクがいる会社でのびのびと飲むことなんてできませんでしたから、会社で飲むことはそんなにありませんでした。

今はどうか知りませんが、深夜に社員が車座になって会社で酒を飲んでいる光景は新聞社の特徴の一つと言えるでしょう。

昼間からソファで寝ている人の姿が

ハードで夜も遅い仕事であるが故に、昼間からソファで寝ている人の姿が見られることも新聞社ならではの光景かもしれません。

入社して間もないころはソファの横を通りかかったときに人が寝ていてギョッとしたものです。

新聞記者は緊張する場面が多く、何かあったときにすぐに跳びだせる瞬発力が必要なので、普段はソファで堂々と寝られるくらい、ゆるりと構えられる人の方が向いているのかもしれません。

いつどんな事件・事故が起きるかわからない、いつ携帯電話が鳴るかわからない。

そんな状況にわたしは慣れなくて、心はいつもガチガチ。心が固まっていると体も固まってしまい、どんどん疲れていきました。

わたしを心配していたからだと思うんですが、デスクからはよく「庄部はもっとバカになれ!」と怒られていました。

そう怒られることでまた萎縮していってしまうという悪循環に陥ったわけですが、フリーライターとしてマイペースにひょうひょうと楽しめている自分を見るにつれて、「あのとき、もっとバカになれていればなあ…」と思うこともたまにあります。

メンタル病みがち

「精神疾患は決して他人事ではない」

多くの新聞記者が同意するのではないでしょうか。

精神的・身体的にストレスがかかりやすい仕事であるだけではなく、前述したように気性の激しい先輩や上司も少なくありませんから、自然と精神的な問題を抱えやすいように思います。

わたし個人の周囲だけでも、精神的な問題や病気を抱えた記者が3人はいました。そのうち1人は休職したのちに復帰しましたが、2人は辞めました。

かく言うわたしも動悸や不眠に悩み、医療機関では精神疾患の一つである「適応障害」と診断されました。

休職したのちに一旦は復帰しましたが、結局のところネガティブな理由で辞めました。

どんな業界も身内には甘いもので、新聞社も他業界のブラック労働を指摘こそすれ、自社が身を置くマスコミ業界に矛先を向けることはしません。

前時代的で軍隊的な企業風土を変えないと、精神的な問題を抱える人は減らないのではないでしょうか。

新聞業界は斜陽産業で志望者も減っているでしょうから、いい人材をとるためにホワイト化していくのは自然な流れだとは思いますが。

さて、とりとめなく思うままに印象に残ったことを書きました。

新聞社は自分には合わなくて戻りたいとは思いませんが、ただ、新聞記者を経験していなければ間違いなくフリーライターとしての自分はなかっただろうとも思います。

デスクに何度も記事の内容について詰められ、取材先に謝りながら何度も再取材をし、そして自分の記事を直すデスクの後ろ姿を、するすると魔法のように自分の文章が良くなっていく様子を直に見た経験は代えがたいものです。

取材で面白い情報を得ようとする貪欲さ、細部の確認を怠らない繊細さ、取材して記事を書くことは非常に厳しい行為なのだという認識。

ちょっとかっこよく書きすぎましたが、そういったものに近い感覚が培われたように思います。

嫌いだけど、今の自分を構成するためには不可欠だったもの。

新聞社はわたしにとってそんな複雑な存在なのです。

以上、フリーライターの庄部でした。

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