「記者」と「ライター」はともに「文章を書く仕事」という点では共通していますが、両者に違いはあるのでしょうか。
これらの仕事に縁のない人からすると、わかりづらいかもしれませんね。
結論から言うと、あります。
記者…取材をしてニュースを伝える人
ライター…原稿を書く仕事をしている人
ライターの方が記者よりも意味が広いんですね。
フリーライターのショウブ(@freemediwriter)は会社員時代に「記者」を、フリーランスの今は「ライター」を名乗っていて両方を経験しているので、実感を持って解説することができるのではないかと思います。
詳しく見ていきましょう。
会社員の場合、肩書は会社が決めるもの
まず前提として、会社員として仕事をする場合、「記者」も「ライター」も肩書は会社が決めるものです。
会社が「記者募集」として求人を出せば、入社後はそう名乗りますし、社内でもそう呼ばれます。自分で名乗っているわけですから社外でも「記者の●●さん」と呼び掛けられます。
「ライター」の場合も同様です。
仮に、「取材をしてニュースを伝える」という記者と同じ仕事をしていても、会社が「ライター」としてポジションを与えていれば、自分や周囲の人はそう呼びますよね。
会社員はフリーランスとは違って会社に肩書を決められるので、こういった前提は踏まえておく必要があります。
記者「報道機関に所属してニュースを伝える人」
その上で、仕事の中身について見ていくと、記者とライターの仕事の共通点が「文章を書く仕事」であることは周知の通りです。
文章を書く媒体や文章を書くまでのプロセスに違いがあるわけですが、「文章を書く仕事」の印象が強いために混同しやすいのかもしれません。
両者の違いを見ていきましょう。
まず、記者について。
記者は、「取材をして記事を書く人」です。
人に話を聞き、その情報を基にしながら、場合によってはインターネットや書籍、雑誌などの情報も参考にしつつ、記事を仕上げていきます。
辞書では下のように記されています。
記者
新聞・雑誌・放送などの報道機関で、取材したり、記事を書いたり、編集に携わったりする人―大辞林 第三版
会社員で記者をしている人の場合、所属先は報道機関です。
つまり記者は、「人に取材をして記事を書き、ニュースを伝える人」と言えるでしょう。
読者層は専門誌を除いて一般の市民であることが多く、そのために「読みやすく、わかりやすく伝える」ことが求められます。
ちなみに新聞の場合、小学生でもわかる文章をテーマに掲げています。
記者として求められることは、わかりやすい文章を書くことはさながら、取材力であることが特徴です。
取材によってニュースとなる価値のある情報を引き出せるかが重要になるのです。
ネットサービスの普及で「在宅ライター」が主流に
その一方で、ライターは記者よりもより広い意味での書き手を指していて、「原稿を書くことを生業としている人」です。
ライター
文章を書くことを業とする人。執筆者。文筆家。著述家。―大辞林 第三版
「原稿を書くことを生業とする」のであれば、原稿の内容や原稿を書くための情報を手に入れる方法は問われないことになります。
わたしのように取材をして原稿を書いている人もいれば、取材をしないで原稿を書いている人もいるわけですね。
特に今はクラウドソーシングサービスが普及しているので、取材をせず、本やインターネットの情報をリライトして世に出す「在宅ライター」「ウェブライター」が増えています。
クラウドソーシングサービス
インターネット上で仕事を発注したい企業と仕事を探している人をつなぐサービス。
ライターやデザイナー、システムエンジニアなどのクリエイティブ職に対する案件が多い。「ランサーズ」と「クラウドワークス」が大手。
肌感覚でいえば、「ライター」のうち、取材ライターが2割ほどで在宅ライターが8割ほどを占めるのではないでしょうか。
取材をしないで原稿を書くケースは下の通りです。
- インタビュアーが取材した内容を基に書く
- インターネットや書籍などの情報をリライトする
- 自分の経験を基にコラムを書く
ひと昔前に「ライター」と言えば「取材をして原稿を書く人」を多くの人がイメージしていたと思われますが、現在は取材をしないで原稿を書くライターが割合的には多いのです。
詳細はこちら。
なお、この記事で記者が書く文章を「記事」、ライターが書く文章を「原稿」と使い分けているのは、微妙に意味が違うからです。
記事:新聞や雑誌などに報道されている文章
原稿:公表するものの基になる文章
原稿を書く媒体が記者に比べてさまざまであることもライターの特徴です。
メディアやホームページ、広報紙を始め、講演会の台本や商品の説明書など、文章が書かれているものであればあらゆるものが対象になります。
このように、記者に比べてライターの意味は広いため、「ライター募集」とうたう企業に応募する場合は、具体的な仕事の内容や読者層などを事前に確認しておいた方が良いでしょう。
フリーランスの場合はクライアントとコミュニケーションを取りながら、企業が想定している読者層や求めている原稿のテイストを把握して、案件によって取材や書きぶりを変えることが大切です。
総じて、ライターが書く原稿の方が商業文章の色合いが強くなるので、ジャーナリスト然とした人よりは、商売っ気のある人の方が向いているかな、とは思います。
まとめ
記者…人に取材をして報道機関が出す媒体に記事を書く人
ライター…文章を書くことを仕事にしている人
「文章を書く」という点では共通していますが、厳密にはこんな違いがあることを把握していれば、企業や同業者とのやり取りの際にもイメージがわきやすくなるでしょう。参考にしてみてください。
フリーライターの庄部でした。
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