売れっ子になりたいけど、まずは食えるだけのライターにならないと
フリーランスを志望するライターの多くはおそらくこんなふうに考えるのではないでしょうか。
独立前のわたしもそうでした。
ライターは企業と一緒に仕事をするので、企業から切られてしまえば仕事は得られません。
つまり、食えるライターになりたいなら、「企業から嫌われるライター像」をつかむと対策が立てやすくなるのではないでしょうか。
また、嫌われるライター像がわかれば、おのずと人気ライターなるもののイメージもしやすくなると思います。
わたしは2016年に独立してからマーケティングを兼ねて定期的に「どんなライターが嫌だったか」を企業に聞いてきました。
今回はその中で印象に残ったセリフをいくつかピックアップしてご紹介します。
これらのことを避ければ企業から嫌われる可能性を減らせ、食えるライターに近づきやすくなるでしょう。
少なくとも嫌われないライターのハードルはかなり低い
わたしの印象です。ご参考ください。
メールの返信が遅い
「返信がなくてこちらから電話をすることもあるんですよ」―ウェブ制作会社・窓口
まずは、ウェブ制作会社で事務を務める女性の発言から。
彼女は取材依頼のメールをライターに送る仕事をしていました。その会社に登録するライターは数十人いたそうですが、返信の遅い人が少なくなかったようです。
彼女は苦笑しつつ、でも「本当に困っている」といった体でこう話していました。
「フリーライターって会社勤めの経験をしたことがない人もいるからか、メールを読む習慣がないんじゃないかと思う節があります。
取材依頼のメールを送ったのに返信が2日後とかありますし、レスがないときはこちらが電話をしてメールを読んだかどうか確認することもあるんです」
電話をしてメールを読んだかどうか確認する。二度手間ですよね。
もっとひどいのは、返信が遅いどころか音信不通になってしまうケース。
わたしの独立前の同僚で、あるウェブメディアで編集をしていた女性が話していたのですが、ライターに「飛ばれた」そう。
仕事を頼んで了承されたのに、途中から連絡が取れなくなったといいます。
準備をしていない
「なんかおかしいなと思ったら、『資料を見なかった』って…」―ウェブ制作会社・営業
ライターにとって準備が大切なことは言わずもがなだとわたしは思うのですが、準備が足りないどころか、ほとんどあるいは全くしない人もいるそうです。
ウェブ制作会社で営業をしていた男性は語りました。
「あれは遠方での取材でした。東京から新幹線で2時間。
取材場所で現地のライターと合流して間もなく取材が始まったわけですが、あれ? 聞いてほしいことに触れてくれないなと。事前に資料も送っているのに…。
もちろん、ライターのアンテナに引っかかったことを掘り下げてくれるのはうれしいんですが、こちらの要望も踏まえてくれないと。
取材した後に聞いたらその人は『すいません、資料を見れませんでした』って」
「ちゃんと準備をしてくれない」とは、別のウェブメディアで営業をしていた女性も話していたことです。
取材態度が悪い
「取材中に脚を組んでいる人がいて、あれを見たときは…」―ウェブメディア・営業
取材中のライターの態度が気になる人もいるようです。
今までに挙げた会社とは違うウェブメディアの営業担当(女性)は言います。
「何というんでしょうか。全体的にコミュニケーションが苦手なのかな? という印象のライターさんもいて。
それだけならまだいいんですが、中には取材中に脚を組んでいる人がいました。口調は普通でしたが、態度としてはやっぱり偉そうに感じますよね」
友達ではない、仕事として話を聞かせてもらっている相手の前で、脚を組む。
ちょっと考えづらいのですが、こんな人もいるそうです。
締め切りに遅れる
「1日でも締め切りに遅れたら二度と頼みません」―広告制作会社・経営者
ある広告会社の男性経営者はこう名言していました。「そこはシビア」と仕事前の面談時に話していたんですね。
「広告制作にはスポンサーや広告代理店などいろんな人が関わるので、関係者には事前にスケジュールを周知しています。
だから、たとえ1日でも締め切りに遅れる人には二度と頼まないようにしています」
文章の基礎ができていない
「『てにをは』から書けない人もけっこういるんですよね」―専門誌・編集
ある専門誌の男性編集者はライターが書く文章の質に言及していました。
「ライターの人とは今までに15人ほどと面談をして、うち8人くらいと仕事をしました。一緒に仕事をしたのは全員、会社で記者やライターなどを経験していた人です。
会社員記者を経験していない人とも面談をし、過去に書いたものを見せてもらいましたが、多くの人が文章の基礎ができていなかったんですよね。
主語と述語や『てにをは』から適切に書けていない人もいました」
長文を読みやすく書けない
「長文は構成が大事なのに、場当たり的に書いている」―専門誌・編集
その編集者は続けてこんなことも話していました。
「実際に仕事をした人の中でも長文を読みやすく書ける人は少ない印象です。
うちの仕事は4ページ6000字ほどとそこそこボリュームがあるので、ライターには情報処理能力や構成力が求められると思うんですが、それらが欠けているのかなと。
長文を最後まで読ませるためには事前にある程度構成を考えておく必要がありますが、それができていない。行き詰まって、場当たり的に書きつないだような文章もありました」
ウェブライターと名乗っている人
「まずウェブライターには頼まないですね」―広告制作会社・経営者
これは人によっては酷なセリフですが、上に挙げた広告制作会社の経営者はこう話していました。
「ウェブライター」にネガティブな印象を抱いていたのはこの経営者だけではなく、先述の専門誌の編集者も同様でした。
- 取材経験がない
- 書けない
そもそも取材経験がないので、取材案件には向かない。
ウェブライターの仕事は本やネットの文章をリライトするもので、文章を並べ直すことはできても、文章そのものを書く技術は乏しい。
理由を詳しく聞かなかったのでよくわかりませんが、こういったことでしょうか。
わたしが依頼主側だとしても、「ウェブライター」と名乗られたらライターとしてのマインドや技術などの面から警戒してしまうかもしれません。
その姿は多様だと思いますが、ネガティブに感じる人もいるということですね。
まとめ
こんなところでしょうか。
- メールの返信が遅くならない
- 準備して取材に臨む
- 締め切りに遅れない
- 偉そうな態度を取らない
これらだけでも、企業によってはマイナスな印象を避けられるのではないかなと。
わたしの主観にすぎませんが、フリーランスの世界って案外、甘いんですよね。会社員として普通のことが普通にできていたら、フリーランスとしてはむしろ評価が上がる、なんてことは十分に起こり得ると思います。
また面白いことを聞いたら追記しますね。
フリーライターの庄部でした。
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