「ライター」ってどんな仕事をしているの? 「文章を書く」のは知ってるけど、細かいところまではよくわからない
ライターの友人や知人が周囲にいない人にとって、その仕事内容は漠然としていてつかみにくいかもしれません。
そこで今回は、タウン誌と新聞社で記者を務め、2016年からフリーランスのライターとして働くショウブ(@freemediwriter)が、ライターの仕事内容を細かな工程を含めて紹介します。
ライターの仕事内容は「どんなライターか」によって異なります。
取材ライターと在宅ライターで違いますし、また、取材ライターでも書く媒体によって工程が変わってくるんですね。
参考にしてみてください。
取材ライターか在宅ライターかで仕事が変わる
先述の通り、ライターの仕事内容はライターのタイプによって異なり、現在は主に取材をして記事を書く「取材ライター」と、取材をしないで記事を書く「在宅ライター」「Webライター」に大別されます。
- 取材ライター…人や事象を取材して原稿を書く人
- 在宅ライター…本や雑誌、ウェブの文章をリライトする人、コラムニスト
- Webライター…Web媒体に文章を書く人
およそ上の理解でいいかと思います。
取材をしてWebの媒体に記事を書く自分のことを「Webライター」と称する人もいるかもしれませんが、その割合はとても低いと思うので、この記事ではWebライターを在宅ライターの中の一つと位置づけ、ライターの大枠を取材ライターと在宅ライターに分けます。
本当は、「在宅ライター」という表現もちょっと乱暴なんですけどね。
取材をしても原稿を書くときは家にいるライターが多く、その人はまあ、書いている間は在宅ライターと言えるわけなので。
取材ライターと在宅ライターのうち、割合的に多いのは後者です。
過去は前者の方が多かったと思いますが、インターネットの発達と、ネット上で仕事の受発注を行うクラウドソーシングサービスの普及によって在宅ライターが爆発的に増えました。
ライター業界が激変した経緯は下の記事に書いたので参考にしてみてください。
取材ライターの仕事内容
それぞれのライターの仕事内容を紹介しましょう。まずは取材ライターから。
取材をして記事を書くライターが行い得る仕事を連ねると、下の通りになります。
- 記事ネタの企画
- 取材対象者の選定
- 編集者などへの企画提案
- 取材依頼書の作成と取材依頼
- 資料の読み込みなどの準備
- 取材
- 写真撮影
- テープ起こし
- ライティング
- 校正
- 取材先や編集者などとの原稿のやり取り・修正
「取材をして文章を書く」と一口に言っても、細分化すると工程はけっこう多いのですよね。
これらが仕事になり得る候補として、あとはクライアントや媒体により、「やらなくていい仕事」が生まれてきます。
たとえばニュースや人物などを紹介するメディアで、取材ライターが企画から携わる場合は上の全てが仕事になりやすいですが、そんな媒体でも編集者が企画を立てて取材先をピックアップする場合、ライターは取材の段階から関わることになります。
このように、企業側が取材テーマや取材先、そして大まかな質問内容まで考え、ライターには取材とライティングのみ(場合により写真撮影を含む)を手配するケースはこのほか、ホームページの作成や広告案件などで多く見られます。
わたしの経験で言うと、ライターが取材の段階から関わる仕事の場合、取材先との原稿のやり取りや簡単な修正は企業側が行うことが多いです。
仕事内容で取材ライターにも向き不向きがある
- ネタの企画から携わる
- 取材から携わる
わたしは両方の仕事をしていますが、「企画するか」「取材先を探すか」「自ら取材依頼をするか」の3つがあるのとないのとでは大きな違いがあって、ライターでも向き不向きがあるように感じています。
これも少し乱暴かもしれませんが、考えたり想像したりするのが好きな人は前者の仕事が向いていて、企業の希望に合わせて柔軟に仕事のスタイルを変えられるサービス精神の旺盛な人は後者の仕事が向いているのではないかなと。
企画を立てるためには世の中の出来事や人の話していたことに敏感である必要がありますし、当然ながら、「読者層を考えるとこんな記事があれば読まれるのではないか」といったイマジネーションが求められます。
一方で、取材から関わる仕事の場合は、企画を立てて取材を手配した担当者が求めていることを踏まえてインタビューしたり、文章の内容や文体を調整したりする必要があります。
広告案件はその最たるもので、場合によっては「読者にとってどうか」よりも広告主の意向を重視して記事を書かなくてはいけないこともあります。
ここまで書けば、ライターの性質によって向き不向きがあることは想像できるのではないでしょうか。
在宅ライターの仕事内容
わたしは取材ライターなので、在宅ライターの仕事の説明については詳細を欠く可能性がありますが、わたしが独立当初に携わった在宅ライティングや、在宅ライターから取材などを通して聞いたことを総合するとこうなります。
- 記事ネタの企画
- 参考資料の選定と読み込み
- ライティング
- 校正
- 企業担当者などとの原稿のやり取り・修正
取材ライターと同様、在宅ライターでも「記事ネタの企画」が仕事の候補になりますが、わたしの印象ではその実現性は低く、オウンドメディアを運営する企業などからあらかじめ「こんなテーマで書いてほしい」といったリクエストが送られることの方が多いようです。
わたしが独立当初に携わった数件の在宅ライティングもそうでした。
そう考えると、在宅ライターの仕事は「参考資料の選定と読み込み」「ライティング」「校正」「企業担当者との原稿のやり取り・修正」の4つで成り立つことが多く、取材ライターに比べると工程が少なくなります。
かといって、「だから楽」かと言えばそうではありません。
在宅ライターは取材ライターに比べて「仕事の難易度」や「適性」「工程の多さ」「担い手の数」などの観点から価値が低くなりやすいので、ネット媒体では文字数が多くなりやすいことも加味すると、一般的には「重労働・低報酬」になりやすい傾向があります。
そんな条件が多いことを考慮すると、「じっくりと何冊も本を読むなどして理解を深め、時間をかけて記事を書く」タイプの在宅ライターはほとんどおらず、「ネットで見つかりやすい情報を基に数日で手早く記事にする」人が大半であることは想像に難くありません。
そもそも、「取材をしないで記事を世に出していいのか」というのも考えどころで、在宅ライター・Webライターの意義や在宅ライティングに取り組む前に考えてほしいことについて下の記事に書きました。
編集者やディレクターの仕事を混ぜている人も
取材ライターと在宅ライターの仕事の工程を紹介しましたが、中にはライターでありながら編集者としても仕事していたり、メディアで働く複数のライターの取りまとめ(指示出しや校正など)を担うディレクターとして働いていたりする人もいます。
ライターと記者の違いは
ライターのタイプによる仕事の違いについて書きましたが、その手前の「ライター」と「記者」の違いがわかりにくいと感じている人もいるかもしれません。
- ライター…原稿を書く仕事をしている人
- 記者…取材をしてニュースを伝える人
違いは上の通りで、ライターの方が記者よりも広い意味を持つんですね。
詳しくは下の記事に書きました。
まとめ
取材ライターと在宅ライターの仕事の工程を紹介しました。
細かく見ていくと、それぞれのライターのあり様や求められる資質、注意点などが想像されてくるのではないでしょうか。
考えるきっかけになれば幸いです。
関連記事を合わせて読んでいただくと、より理解が深まるかと思います。
フリーライターの庄部でした。
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