どうすれば質の高い情報を効率的に得られるか
インターネットの発達とSNSの普及によって、わたしたちがアクセスできる情報の量と幅広さは格段に増しました。
しかしながらそのことによって、根拠がわからなかったり、文章が読みづらかったりする質の低い情報が入ってくる機会も増えたように思います。
冒頭に挙げた課題感を抱えている人に勧めたいのが、「新聞の電子版をiPadで読むこと」。
新聞は情報の幅広さと質において最も優れた媒体であるとわたしは思うのですが、電子版を利用すれば紙の短所である「スピード」も克服できます。
作家の佐藤優さんが行っている方法を真似たことが利用のきっかけで、「これは素晴らしい」と感動するとともに、新聞の魅力を改めて知りました。
この記事では、
- 新聞の長所と短所
- 電子版をiPadで読むことのメリット
- ヤフーニュースの問題点
に触れながら、新聞電子版をiPadで読むことの有用性について元記者のフリーライター・ショウブ(@freemediwriter)が語ります。
新聞は情報の幅広さと質が最良
新聞には、「社会」「政治」「経済」「国際」「スポーツ」など多様な分野の情報が載っている上、それらは程度の差こそあれ、一つひとつ記者が取材をした上で書かれているものです。
取材をせずに書かれている根拠不明確な情報が増えている今、まずその点において異なります。
記者が取材をして書いた記事は、記者歴の長いデスクによってチェック・修正され、さらに整理部によって表記ミスや事実の違いがないかを校正された上で印刷されたり、ネット上で配信されたりします。
記事が世に出るまでに厳しく審査されているわけですね。
中でも新聞社の場合、デスクのチェックが厳しいのが大きな特徴です。
記者が書いた記事が何の問い合わせも受けないまま整理部に回ることは少なく、記者はデスクから何かしらの質問を受け、必要な要素が足りていなければ再取材を指示されます。それが一度ではないときも往々にしてあります。
そして、デスクはニュースのわかりやすさや読みやすさを考慮して文章を修正していきます。
わたしは、タウン誌と新聞社で7年間、記者を務め、2016年に独立してから雑誌や週刊誌、広報誌、ウェブメディア、一般企業のオウンドメディアなどさまざまな媒体に記事を書いてきましたが、「記事が世に出るまでの審査の厳しさ」という点で新聞に勝る媒体はない印象を抱いています。
フリーランスになってから、新聞記者時代ほど厳しく記事をチェックされたことはないんですね。
もちろん例外はありますが、書籍を除いたニュース媒体の全体的な傾向として、「新聞が最も校正力が高く、故に情報の確度も高い」とわたしは考えています。
「物」であるが故の新聞の短所
その一方で、紙の新聞は物理的性質に起因するさまざまなデメリットがあります。
何を短所と捉えるかは主観の域を出ませんが、わたしが考えるそれは下の通り。
- ポストまで取りに行くのが手間
- 紙が大きく開くのが手間
- 紙が大きいので外出先で読みづらい
- 紙が大きいので目線の移動距離が長い
- 捨てるのが手間
- 捨てるまでの保管に場所を取る
デジタル化が進む中で、これらを短所に思う人は少なくないのでは。
「新聞電子版+iPad」の長所
しかし、新聞の電子版をiPadで読むことにより、これらの短所が全てなくなります。
iPadにデータが入っているので家の玄関まで取りに行く必要はありませんし、上の写真の通り、iPadは新聞を開いたときのサイズよりも大幅に小さく、読むときに場所を取りません。
指一本でスクロールすれば次の面に移るので、腕を使ってページを繰る必要はなく、また小さい分俯瞰性に優れるので、タイトルを追うときの目線の移動距離も短くて済みます。
場所は取らず、物ではないので捨てる必要もありません。
中でも「特に素晴らしい」と感じているのが、俯瞰性に優れていることです。
新聞は大きなニュースほどタイトルが大きく、また文章量も多く割かれますからパッと見でニュースの重要度が判別できるようになっていますよね。
時系列でニュースが並ぶネット媒体よりも優れている点ですが、「新聞電子版+iPad」のコンビネーションによってさらにメリットが増えます。
先述の通り小さいので目線の移動距離が短くなる上、スクロールすればすぐに次の面に移れるため、タイトルを追うだけ、つまりニュースの大枠をつかむだけに限ればとても短い時間で済みます。
わたしの場合、1分半~2分ほどで全ページの記事タイトルの大部分を読めます。
これらが、紙の新聞の短所である「物理的性質」と「スピード」を克服し、ネット媒体よりも重要なニュースを短時間で判別できると考える理由です。
ヤフーニュースの問題点
最後に、ネットニュースを代表する「ヤフーニュース」の問題点に言及しますね。
わたしは、新聞電子版をiPadで読むようになってからヤフーニュースはほとんど読まなくなり、スマートフォンのアプリも削除しました。
質の高い情報を効率的に得るという点で「有効ではない」と判断したためです。
わたしが思うヤフーニュースの問題点は下の通り。
- タイトルからニュースを想像しづらいことがある
- 芸能関連のニュースが目立つ
- 1日以上前の記事がトップ表示されることがある
タイトルからニュースを想像しづらい
ヤフーニュースは新聞とは違ってサブタイトルがなく、規定の13字からニュースを想像しないといけません。
「クリックされてなんぼ」のネット媒体の特性から、意図的にクリックを誘導するような、ぼかされたり、過剰に表現されたりしているタイトルがつけられていることもあります。
スポーツ紙などに多いのですが、クリックして中身を見るとタイトルから想像されるものとは違って拍子抜け、なんてことも。
一方の新聞または新聞電子版はサブタイトルや中見出しも瞬間的に見られるので、本文を読まずに得られる情報量がヤフーニュースよりも多い傾向があります。
芸能関連のニュースが目立つ
ヤフーニュースのトップには芸能ニュースが表示されていることが多いですよね。
利用者にクリックされやすいからだと思いますが、わたしは芸能人の動向への関心が低い―知っても自分の人生がポジティブに変わるわけではない―ので、要りません。
新聞も大きなニュースであれば芸能情報を報道しますが、全体的にその量が少ないのでわたしには相性がいいのです。
1日以上前の記事がトップ表示される
「経済」や「国際」など各ジャンルのページに限ることですが、1日、2日経っても同じ記事が主要ニュースとして表示され続けていることがあります。
配信候補の記事が少ないからか、よく読まれているからかのどちらかだと思いますが、割合的に少なくても同じ記事が1日以上にわたって目立つ位置を占めるのはいかがでしょう。
わたしの場合、画面を目にするメリットが薄れるのでこれも嫌です。
まとめ
ヤフーニュースを始めとするネットニュースはそもそもクリックしないと記事を読めないので、そこがわたしにとっては心的・物的なコストがかかること。
わたしにとっての新聞および電子版のメリットを再掲すると、
- 情報の網羅性が高い
- 取材・校正されているので確度が高い
- 校正機能が優れているので読みやすい
- 約2分で前日の主要ニュースの概要がわかる
- ニュースの大小もわかる
それと、紙とは違って写真がほとんどカラーなのもいいですね。
上の写真は紙と電子版の同じ面ですが、紙がモノクロなのに対して電子版はカラーです。写真部の記者の腕も電子版だとよりわかりやすいんですよね。
コンパクトなのでタイトルを目で追うのが紙よりも楽で、早い。
左下の「台湾など往来再開へ」の記事。このままだと本文は読みづらいですが、
タップすれば瞬時に拡大されます。
写真をタップすると動画も見られるようにするなど、より高次な連携が深まれば魅力がさらに増すのではないでしょうか。
新聞は本当にいろいろな情報を載せているから自分の興味が広がる。文章も読みやすくていい
電子版をiPadで読むようになってから改めて感じることで、今は新聞を読むのが毎日楽しみ。ネット情報が玉石混交だからこそ、こう思います。
ライターの庄部がレポートしました。
佐藤優さんの情報収集術については下の記事に詳しく紹介しています。
毎日新聞の電子版「デジタル毎日」の感想はこちら。
追記:起床後に新聞電子版の見出しをざっと読み、午後の合間合間に気になった記事の本文を読む。これが習慣になってから5カ月、自分の興味関心が広がり、質の高い情報の入手量が格段に増えたと感じています。
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