ライター×知識

【記者が解説】「ころ」「つくる」は漢字? 平仮名? 使い分け方

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この言葉は漢字の方がいいのか、平仮名の方がいいのか。

漢字と平仮名の使い分けを考えることは、記者やライターの仕事をしていると避けては通れないことです。

会社員記者を7年、フリーライターを3年。10年にわたって記事を書いてきたショウブ(@freemediwriter)が、表記に迷いやすい言葉を10個ピックアップしました。

表記についてはメディア業界の基準となっている『記者ハンドブック』(共同通信社)に倣いました。

記者ハンドブックがどんなものかについてはこちらの記事を参考にしてみてください。

記者ハンドブックとは? 愛用歴13年のライターが使い方解説【写真】ライター必携の校正ツール『記者ハンドブック』の特徴と活用方法について愛用歴13年のライターが写真付きで解説。...

下に挙げているものは文章を書くときに特に登場しやすい言葉なので、基本的なルールを知っておくとその都度考える時間が減り、書く時間を短縮できるでしょう。

同じ読みの言葉に対してどの漢字がふさわしいかという観点も加えました。

1、「とき」

「とき」は状況によって漢字と平仮名を使い分ける必要があるので注意が必要です。「使い分けに迷う場合は平仮名書き」(記者ハンドブック)にしましょう。

漢字の「時」を使う場合

時間や時刻、時期そのものを示すときは漢字の「時」を使用します。

例)時々、時には、時と場合、梅雨時、実行する時が来た、売り時、書き入れ時

平仮名の「とき」にする場合

「…の場合」を意味するとき、大切なとき。

例)こんな問題が出たとき、事故が起こったとき、社員を採用するときは、…しようとするときは、困ったときの神頼み、いざというときは、行けないときは連絡する

2、「ころ」

「ころ」もよく使う言葉ですが、「とき」と同じように漢字と平仮名を状況によって使い分ける必要があります。

漢字の「頃」を使うとき

名詞の一部として使われるとき。

例)食べ頃、見頃、頃合い

平仮名の「ころ」が望ましいとき

特定の日時や時間の後に付くとき

例)ことしの春ごろ、4時ごろ、3月20日ごろ

3、「あと」

「前」の対語や「後続」を意味するときに漢字の「後」を使うのが基本ですが、平仮名表記がふさわしい場合もあるので留意しましょう。

平仮名の「あと」を使うとき

例)あと一息、あと2人、あと3時間

4、「つくる」

よく使う動詞です。「作る」「造る」「創る」「つくる」のどれがふさわしいか、ざっくりと理解しておきましょう。紛らわしいときは平仮名で書いておくと無難です。

「作る」

「創作」や「こしらえる」意味のとき。主に小規模のものに対して使います。

例)資料を作る、人形を作る、料理を作る、ルール(基準)を作る、歌を作る、実績を作る、前例を作る、作り声、作り笑い

「造る」

「造成」「製造」「醸造」を意味するとき。主に大規模のものに対して使います。

例)家を造る、石造り、酒を造る、自動車を造る、貨幣を造る、庭園を造る、国造り

「創る」

「創造」や「独創」を強調する場合に使います。

例)文化を創る、神が天地を創った

「つくる」

主に抽象名詞に対して使います。

例)会社をつくる、空気(雰囲気)をつくる、子どもをつくる、環境をつくる、財産をつくる、時間をつくる、組織をつくる、体力をつくる、敵をつくる、町・街づくり、歴史をつくる

5、「もと」

「もと」は複数の漢字が候補になる言葉。「基」「元」「下」「本」「もと」を使い分けましょう。

「基」

「基本」や「基礎」を意味するときに使います。

例)基になる資料

「元」

「物事の始まり」や「以前」を意味する場合に使います。

例)根元(根本ではないので注意)、足元、口元、混乱の元、元からやり直す、元通り、彼の元に急ぐ、元も子もない、元通り

「下」

「支配下」や「手段」などを意味する場合に使います。

例)彼の下で働く、命令の下に動く、条件下で成立する、法の下に平等、一撃の下に倒す

「本」

「末」の対語や「本来」を意味するときに使います。

例)本を正せば、本はと言えば、本を断つ、本末転倒

「もと」

「原因」や「原料」を意味する場合に使います。

例)口は災いのもと、元気のもと、スープのもと

6、「とも」

漢字の「共」だけでなく、平仮名を使う場合もあるので覚えておきましょう。よく使われる「一緒に」を意味する場合は漢字です。

「共」

「一緒」や「同じ」を意味するときに使います。

例)行動を共にする、共働き、母と共に食事をする、生死を共にする

「とも」

「全部」や「~と同時に」を意味するときや接尾語として使うとき。

例)3人とも無事だった、今後とも、送料とも300円

「供」

「従者」を意味するとき。

例)お供をする、供ぞろい

7、「いかす」

「活かす」ではなく「生かす」。経験が「いきる」も同様に「生きる」。

8、「できる」

漢字の「出来る」ではなく、全て平仮名の「できる」で統一

例)橋ができる、勉強がよくできる、利用できる、できるだけ、できる限り

9、「とまる」

「とまる」「とめる」は「停」ではなく「止」を使います。「車を停める」にしがちですよね。

10、「など」

漢字の「等」ではなく、平仮名の「など」を使います

文章を書く際に登場することが多く、かつ迷いがちなものを紹介しました。まだまだこういった言葉はたくさんあるので、随時、追記していこうと思います。

フリーライターの庄部(@freemediwriter)でした。

記者ハンドブック、1冊持っておくと重宝しますよ。

続編はこちら

「効く」「利く」「表れる」「現れる」漢字の使い分け方【第2弾】漢字の使い分けがわかりづらい言葉をライターがピックアップし、その用例を解説します。「効く」「利く」、「表れる」「現れる」、「付ける」「着ける」、「始め」「初め」など7つを紹介。...

第2弾として、下の言葉における漢字の使い分け方を解説しました。

  • 「効く」「利く」
  • 「表れる」「現れる」
  • 「付ける」「着ける」
  • 「始め」「初め」
  • 「固い」「堅い」「硬い」
  • 「取る」「捕る」「採る」「執る」
  • 「変える」「代える」「替える」「換える」
【解説】平仮名と漢字のどっちがいいの? 表記に迷う言葉【第3弾】「良い」「よい」、「一つ」「ひとつ」、「事」「こと」、「来る」「くる」、「過ぎ」「すぎ」など表記に迷いやすい言葉をライターが紹介し、その書き方を解説します。...

第3弾では、下の言葉の漢字と平仮名の使い分けについて紹介しています。

  • 「良い」か「よい」か
  • 「一つ」か「ひとつ」か
  • 「1人」か「一人」か「独り」か
  • 「事」か「こと」か
  • 「来る」か「くる」か
  • 「過ぎ」か「すぎ」か

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