ライター×マインド

フリーランスとして仕事がなくなった事例を公開【30代ライター】

「フリーランスはなぜ企業から仕事を依頼されなくなるのか」「フリーランスと企業との付き合いはどんなふうに終わっていくのか」

フリーランス志望者には興味のあることではないでしょうか。

同業の人も「他のフリーはどうなんだろう」と何気なく関心を持っていることかもしれませんね。

そこで今回は、2016年に独立して4年超のフリーライターである庄部(@freemediwriter)が、企業との仕事が終わっていった様を紹介します。

まあ、出会いがあれば別れはあるもので、ぼくもさまざまな別れを経験しました。

あくまで一個人のケースに過ぎませんが、あるフリーランスと企業の“最後の形”を知っておくことで、「そんなことがあるんだな」と心構えをしやすくなるかもしれませんし、また「自分ならこうするな」と想像を広げ、実際に直面したときに何らかの対策を打てるようになるかもしれません。

  • 会社の体制が変わった
  • ラブコールを送るが実らず
  • 理由がわからない自然消滅
  • 企業に「嫌」オーラを伝えた

概要は上の通りです。詳しく見ていきましょう。

ライター庄部にとって「終わった」企業

ぼくが2016年3月から2020年6月までに一緒に仕事をした企業数、「付き合いが終わった」「おそらく依頼はもう来ないだろう」と思う企業数は下の通りです。

仕事をした企業 25社
終わった企業 19社

終わった理由として最も多いのはホームページのリニューアルなど単発を前提としていたことですが、今回、それは省きます。

「リピートが見込める余地がありつつ、依頼が来なくなったもの」に絞り、印象的な事例を紹介していきますね。

会社の体制が変わった

フリーランス志望者に最も知っておいてほしいことかもしれません。

会社の体制が変わることで仕事がなくなる。これは多くのフリーランスが経験していることではないでしょうか。

ぼくにも心に残る出来事が2つあります。

1つはあるホームページ制作会社。この会社とはぼくが独立前に営業をかけたことで付き合いが始まりました。独立してからいいスタートを切ることができた要因の一つになった会社なのでよく覚えています。

自分で言うのもなんですが、仕事を始めてからぼくの評価はうなぎ登りだったようで、「庄部さんはいい!」などと社内で噂が広まり、10人以上の社員が個々にぼくを指名してくれるようになりました。

程なくしてその企業からの報酬額が20万円を超えるなどキークライアントに成長したわけですが、仕事を始めて2年ほど経ったころに依頼が来なくなりました。

その会社が、ライターへの仕事の手配を編集プロダクションに任せるようになったためです。

それまでは社内にライターとやり取りする人がいたわけですが、手間を削減するためでしょう、ライターの採用から原稿が上がってくるまでの過程を丸ごと編プロに外注したのです。

おそらく、編プロは自社お抱えのライターなどに仕事を頼むようになったのではないでしょうか。ぼくにはぱったりと連絡が来なくなりました。

週刊誌の仕事も編プロ外注でなくなる

もう一つがある週刊誌との仕事です。こちらもホームページ制作会社と同様、編プロへの外注化で仕事がなくなりました。

その週刊誌はいわゆるゴシップ誌で、医療や健康に関するコーナーはあまり読まれていなかったそうです。

そんな状況に加え、他のライターの納品が遅れる機会も増えていったため、コストカットと新しい風を吹き込むため、「編プロに全部任せる流れになった」と編集者は話していました。

「また頼みたい!」で連絡なし…

お互いに気持ち良く仕事ができたのではないか

そんな手応えを残しつつ、先方も「またお願いしたい」と明るい調子で言ってくれたもののそれきりになってしまった。

これはよく覚えていますね。

2018年に行った、ある大手出版社グループに在籍する編集者との仕事で、具体的には製薬会社が発行する冊子のライティングでした。

その編集者は優しくて丁寧、知的な雰囲気も漂う素敵な人で、「この人とはまた一緒に仕事をしたい!」とぼくも感じ、その気持ちをメールでも伝えました。

しかし、

「あれ、数カ月経っても次の依頼がないな」

ぼくも仕事に困っている状況ではなかったので、気にはなりつつも時は流れ…

現在に至ります。

何が原因かわからない自然消滅

フリーランス全体で考えると、もしかしたら一番これが多いかもしれませんね。

手応えがすごくあったわけじゃないけど、自分の仕事の悪かった部分もちょっと思い当たらない。

掲載された記事を見てみると、クライアントやスポンサーの修正も少ない。

なぜか、次の仕事は来なかった。

ぼくにもこんな経験があります。

フリーランスと企業はそもそも、物理的・情緒的に深い関係になりづらいので、リピートされなかった理由がよくわからない状況が生まれやすいと思うんですよね。

企業からすれば、その人(フリーランス)にネガティブな印象を抱いたとして、それを口に出して改善を図ってもらうよりは違う人に連絡した方が楽で早いことがあるでしょうし、また、フリーランスとしても嫌な印象を持つ企業であれば自分の方から連絡しない、あるいは依頼が来ても適当なことを言って断ればいいだけです。

企業がそのフリーランスに仕事を頼まなくなる理由には下のことが考えられます。

  • 仕事の質が低い
  • コミュニケーションに難がある
  • 人柄が合わない
  • 問題はないが、さらにいい人と出会った
  • 状況的にライターのニーズがなくなった
  • 社内の体制や人が変わった

いろいろと挙がりますが、結局は聞いてみないことにはわからないのですよね。

こちらが嫌だと思ったことも

「もちろん」と言うべきかどうかはわかりませんが、ぼくがクライアントを嫌だと思い、ネガティブなメッセージを口頭や雰囲気で伝えたことで終わった(と思われる)ケースもあります。

事例1-ライターを軽視した制作会社

ブログ経由で問い合わせをもらった企業との面談。

「会社に来て」と言われて1時間以上かけてオフィスビルに行ったものの、フロアには入らせてもらえず、エントランスで資料を数枚渡され、5分ほど話したのみ。

「じゃあ、よろしく」といった感じで社長はオフィスに戻っていった。

「わざわざ会社に行く必要があったのか?」「こちらは時間と手間をかけて訪問しているのにその対応はあまりにも…

このときに嫌な感じを受けたことが引き金となったのでしょう。その後の仕事のやり取りもスムーズにいかず、一度きりの関係になりました。

事例2-報酬を言い間違えた雑誌社

ブログ経由で問い合わせてくれた雑誌編集者との面談。

「問い合わせ時に教えてほしいこと」と記事の中でお願いしていた報酬について明示されないまま「会ってご相談したい」。

話を聞いてみると、報酬が低い。しかし編集者は感じのいい人で、その雑誌の存在も以前から知っていたので仕事を引き受けた。

仕事を終え、振り込まれた金額を見てみると面談時に教わった金額と違う。数千円安い。

編集者は原稿料が源泉徴収されることを知らず、源泉徴収前の金額を伝えていた

こうしたことは経験上、想像されることなので、ぼくは面談時にあらかじめそのことも確認していた。

「請求書は不要とのことだが、これ(編集者が伝えた額)は源泉徴収された後の金額で、この額が振り込まれるということか? ぼくの場合、教わった原稿料に消費税を加え、源泉徴収分を差し引いた額を請求することが多いが…」

すると編集者は「これが振り込まれる額だ」と答えた。

編集者がこのときに言ったことは間違っていて、どうやらその人は消費税や源泉徴収の概念について知らなかったよう

厳密にはその編集者を嫌だと思ったわけではなく、編集者も「私のミスで迷惑をかけた」と謝ってくれましたが、お金のことについてぼくはきちんとしておきたい方なので、「面談時には正しいことを伝えてほしかった。残念に思う」と返信。

その後、依頼の連絡はなくなった、という次第。

まあ、相手の立場からすれば「残念」と言われて再アプローチはしづらいでしょう。とはいえ、「お金のことはちゃんとして」というメッセージは発した方がいいと思うことは今も変わりません。

ぼくの面談時の詰めも甘かったですね。

人が言葉を濁したり、返答に間があったり詰まったりした末に発された内容は真偽を疑った方がいいと思うので、その後にもっと質問を重ねれば良かったなと。

悪気はなくても、何となくその場のノリで嘘をついてしまうことはあるなと思うのです。自分も含めて。

事例3-次第に相性が悪化した広告会社

時間の経過とともに企業との相性が悪くなり、ミスマッチの度合いを減らそうと要望を出し続けた結果、依頼が来なくなる。

これもフリーランス志望者は知っておいた方がいいように思います。

ぼくが独立前に契約を結び、独立後からは月に10本以上の案件を依頼してくれていたWeb広告会社との仕事です。

先述のホームページ制作会社と同様、独立直後からいいスタート(経済的な意味での)を切れた要因になった企業ですが、直接取引の中では過去2番目に報酬が低かったんですね。

独立して間もないころはそれで問題を感じていなくて、「医療の知識を増やすためにはまず数を打つことが大事」と考えていたぼくにとってはむしろ、安くてもたくさん仕事を振ってくれる企業は重要でした。

しかし、独立して3年ほど経ってくると状況は変わりました。

医療ライターとして「浅くとも広い知識を得た」と思うようになり、この間に仕事をするようになった他の企業は安くてもその広告会社の倍は報酬を払ってくれていたのです。

その広告会社は「うちがあるのはライターさんのおかげ」といったメッセージをよく発していて、社員も感じのいい人が多かったのですが…。

ぼくのライターとしての経済的価値はこれっぽちなのか

そこで、ぼくは振ってほしい仕事の優先順位やディレクションの質について要望を出していきました。

数を裁く必要性が低くなった状況では相対的に報酬の低さがネックになりますから、なるべく手間をかけずに済むようにしたかったのです。

その企業はぼくの要望に何度か合わせてくれましたが、あるときから急に連絡がなくなりました。

「もう切り時だ」

そう思ったのかもしれませんね。

振り返っての教訓は特にない

これら以外にも、メールでのコミュニケーションに無駄が多いと感じたことなどで、ぼくの方から二度目の仕事を断ったことはあります。

一方、直接に言われたことはありませんが、ぼくの仕事の質が低かったり、コミュニケーションが取りづらいと思ったりしてぼくを切った企業もあるかもしれません。

さて、こういった「終わった企業」を振り返ってどんな教訓が得られるかというと、それは特にありません

この手の記事では、「昔の自分は至らなかった」と反省し、「これからはこんないい人間になろう」と締めるものが多いように思いますが、ぼくはさまざまな別れを経験してきたことを後悔していませんし、取り立てて反省もしていません。

そのときのぼくがそう思い、そう行動したのだからしようがない

こう思うのですよね。

人間はそんなに簡単に変われないものだと思いますし、そもそも、別れは決して悪いものではなく、“出会いがあれば別れがある”のと同じように、“別れがあれば出会いがある”のではないでしょうか

今のところそうなっていますし、結局のところ、フリーランスが一緒に仕事をする人の多くは会社員であって、会社員は基本的に会社の方針に従う人たちです。

先述の通り、個人的な信頼関係が意味をなさないことは往々にしてあるので、まずは仕事の面白さや条件面を重視し、ライターとしての成長性も考え、かつ担当者が嫌じゃなければご一緒する、といった感じでぼくは仕事を選んでいます。

付き合いが長続きする3つの方法

さて、そんな中でも

「これを実践すれば関係を良好に保ちつつ、付き合いが長続きしたかもしれない」

と思うことがあるので最後に紹介します。

お金のことはきっちり詰める

ぼくはトラブルを避けるためにも事前に条件をしっかりと確認する方ですが、先述した事例を踏まえ、「お金のことは本当にきっちり詰めた方がいい」と思うようになりました。

上に書いた通り、担当者の中には原稿料に消費税がかかることや源泉徴収の必要があることを知らない人もいるので、「振込額=原稿料+消費税-源泉徴収税額」の計算式に則ってそれぞれの数字がどうかを確認する必要があるなと。

「沈黙は金」の場合がある

ドフトエフスキーの小説を読むとよく思うのですが、人間の気持ちは絶えず揺れ動いているものかもしれませんよね。

ふとした出来事で「いいな」と思っていた人の印象がネガティブなものに変わったり、逆に嫌な感じを受けていた人を「案外いい人かも」と思うようになったり。

特に、ぼくの場合は企業の担当者と対面であまり会わないので、メールの言葉じりなどに執心し、相手が意図しなかった方に解釈してしまう危険性があります。

ですから、

そのときの自分の印象や気持ちは一過性のものかもしれない

という前提に立って、相手へのネガティブな評価を口にしない姿勢は大切でしょう

自分の意見を率直に伝えることはときに必要ですが、それも「意見」と「理由」に留め、あくまでも「こうしてくれないか」と相談する形で伝える。

伝えることと伝えないことを吟味して、暗に「あなたは~に比べて~だから」と評価するようなことは避けるようにした方がいいと思います。

「いい!」と思った人には再アプローチ

「この人とはまた一緒に仕事したい!」

ぼくの場合、そう強く思う人とは頻繁に出会わないと知りました。

だからこそ、好印象を抱いた人にはもっと自分の気持ちを伝えて、仮に相手から連絡がなくても少し時間が経ったときなどにメールしてみようと考えています。

今までに何千人もの人を取材していて思うのですが、興味や好意を持たれて悪い気がする人はほとんどいないんですよね。

取材時だけではなく、企業に対しても「この人は!」と思う人にはもっと自分の気持ちを伝えようかなと。

フリーライター庄部(@freemediwriter)からの報告と雑感は以上です。

参考になったことがあればうれしいです。

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